田丸麻紀、美しさの理由「子どもの記憶にいい香りを」Hiroko.Kのビューティノート vol.2



四季折々の香りに包まれて

──お二人は普段、どのような香りを身につけていますか?

田丸麻紀(以下M)「四季がある日本で生活していると、夏は柑橘系、冬はローズ系と、季節によっても選ぶ香りも変化しますね」

近藤 Hiroko(以下H)「そうね。しかも同じローズの中でも、みずみずしいもの、満開のもの、フレッシュなものなど、その種類もたくさんあって、欲するものは微妙に変化するから」

M 「一日で見ても、たとえば朝イチでお香っぽいフレグランスは重いけど、夜ならいいな、とか思ったり。エッセンシャルオイルを入れたお風呂に入って眠りにつく前、間接照明だけにして、和っぽい漢方薬のようなお香の匂いもセクシーでいいなとか。朝昼晩と日常の場面で使い分けています。今の気分は、さっぱりしたネロリかな」

H「うちのバスオイルにも『アウェイクニング』と『カーミング』という種類があるように、朝と夜とで身体が欲する香りは変わるから」

朝の香り、夜の香り

M「家の中でもベッドルームはローズ、玄関はグリーンティ、クローゼットやお洋服にはライムレモン系の香り…と、部屋によって使い分けています。Hirokoさんはたくさんの香りに囲まれていますけど、一番のお気に入りは?」

H「数えきれないくらいの香りを扱っているけど、私が結局一番好きな香りはラベンダー。ラベンダーがすべての香りの真ん中にあるの。エッセンシャルオイルのドレミファソラシドの真ん中。香りは、陰と陽、静と動に分かれてる。それを音楽でいうおたまじゃくし(音符)に合わせて組み立てるの。何層にもして和音をとるみたいにね。心を沈めたいときの和音の幅と活力持って集中したいときの和音とはまったく違う。けど、そのリズムの中間にあるのがラベンダー」

M「ラベンダー、私も好きです。落ち着きますよね」

H「しかも、ひと言でラベンダーと言ってもその中にもすごく幅があるのよ、何十種類って。産地によってもまた違うしね。柔らかいものから土の香りがするものまですごい種類があるの。中核の中でも縦に伸びる。単にラベンダーといってもそんなに容易くはなくて、ラベンダーの香り一つとってもこれだけっていうのがないのが私の売りなのよ」

M「Hirokoさんのバスオイル、『カーミング』にもラベンダーが入っていますよね。私、Hirokoさんのバスオイルの大ファンで必ず家に置いてあるんですが、それだけは主人にも触らせたくないってくらい大好きなんです」

H「あれを使うと、バスルームを開けたときに香りが部屋中に溢れてくるのよね」

バランシングオイルの秘密

H「私のバスオイルを使ってくださっている方が、栓を抜いてダクトに流すと外にまで香るって。帰宅してきた旦那さんが『家に近づくにつれてすごくいい香りがするけど何なんだ?』って驚いていたらしいわよ(笑)」

M「わかります。本当にいい香りなんですよね」

H「石油系化学物質を使ってないから汚染もしないし、むしろ流れた下水さえ浄化します。そういえば、バランシングオイルといえばいつも思い出すエピソードがある。私がラベンダーをベースに、静と動、マインドとフィジカル、陰と陽みたいに対比させてオイルを作っていたとき、麻紀ちゃんが『陰はないよね』ってさらりと言ってくれて、ああなるほどって思ったことがある」

M「よく覚えていますね!」

H「『ポジティブがいいよね』って。嫌なことってたくさんあるし、辛いこともたくさんあるけど、ポジティブに前に前にいかなきゃいけない。なのにわざわざ“陰”という言葉は使いたくないよねって。たとえば月と太陽でいいのよね。そういう考え方は、麻紀ちゃんらしいなと思うの」

M「Hirokoさんは本当にいつも私を絶賛してくれるんです(笑)」

H「いや、本当よ。スタイルもね、今日改めてこうやって見て、私にとっていい先生でもあるわけ」

M「恐縮です(笑)」

好きな香り、家族と共有できる?

M「香りの効果って偉大ですよね。入浴のときも朝はこれ、夜はこれって、ライムの香りとローレルを使っています。夜の香りをかぐことで、私はもう何時間後かに寝るんだっていうことを体に知らせるというか、朝は朝だよって目覚めさせるというか」

H「美容って日々の生活の中で育んでいくものだから、メンタルとかマインドとの連携が大事だもの」

H「メンタルを保つ役目としても、やっぱり香りの重要さは感じますね。仕事のモチベーションというか、ある種、支えになっているのは感じます」

M「確かに主人と香りでもめたことはないので、共有できてるってこと…なのかな(笑)」

H「だからこそ今、居心地がいいって言葉が出てくるんでしょうね。生きることの価値観が似ているのかもしれない」

M「人間って生き物でいうと、何かしら悩みを探す生き物だと思うんですよね。常に自分に不都合なことを探してしまうというか、不満を持とうとするというか。恋愛関係とか、夫婦生活とかもそうなりがちだと思うんです。だとしたら逆に、幸せな方に照明をあててあげようと意識はしています」

H「まさにそいうところ。麻紀ちゃんは本当に素晴らしいの」

M「Hirokoさん褒めすぎです(笑)」

子どもの記憶に母の香りを…

──日常で香りを楽しむためのコツはありますか?

H「手に染み込ませるのはどう? 私ね、たくさん人に会ったり、人混みに行く時は手にオイルをふりかけておくの。そうすることで普段から自分をプロテクトする。肌に乗せることで、いわゆるシールドを張る。そうしておけば、握手したときとか、相手の方にも気持ちよく感じていただけるし」

M「普段一緒にいる主人や友人、仕事関係の方もそうですけど、まわりにいるすべての人の記憶の中にいる自分がいい香りとともにありたいですね。でも特に想うのが、子どものこと。小さい頃はそんな意識はないのかもしれないけど『お母さんていい匂い人』『あの時はこんな香りがしたな』って、少しでも爪痕を残せたら、大きくなった時とかに思い出してくれるかなって」

H「いいわね。常に吸気するものだから意識にすっと入り込ませながら、邪魔をさせちゃダメっていうのも難しいところ」

M「香りの選び方とか付け方のセンスや好みもあるんですしょうけど、ちょっと主張が強い人もいますもんね」

H「相手にも自分にも何も意識させないのがいい香り。そして、それこそ自分の欲している香りなの。パートナーとも無意識にいられる。近くに寄ってはじめて『貴方の香りですね』って、わかるくらいがいいのよ」

M「子どもにはいつもお母さんの匂いっていいなって思われていたいからなのか、今後、歳を重ねるごとに香水を変えていこうとも思っています」

精油の力で殺菌

H「麻紀ちゃんは、本当に香りといい付き合い方をしてるわね」

M「これから先、自分がどんな香りを選んでいくのか楽しみでもあるんです。それに、香りのことを聞かれるのって嬉しい! 男性のお友だちが女性に贈るギフトで迷っているとき、Hiroko.kのオイルがいいよって言ってるんです。男の人からさらっと香りの提案をされたら『やられた!』って思いますよね。本当におすすめ」

H「特にオーガニックを選んでほしいな。香りの成分自体、本来浄化作用があるのよ。昔、オーデコロンは除染や殺菌の目的でも使用されていたぐらい。第二次世界大戦以降、化学品が増えてすっかり少なくなってしまったけど、オーガニックのオイルとかアルコールとか、上質なものを選んでほしい」

M「そうなんですね」

H「戦後、女性にとって良くなった製品はストッキングぐらいね(笑)。昔と違って今はナイロン製のいいストッキングがあるけど、お化粧品、特に香りの成分は化学製品に侵され続けてきた。だから今、わたしは香りの本当の成分を蘇らせているの。頭の中がモヤモヤしている時などは、純粋な香りをかぐことで瞬時になくなるのよ」

M「確かに、香りをかいだ瞬間に気持ちが切り替えられたりするときがあります」

H「本当に質がいいものは、香りはもちろんだけど、精油の力で殺菌できる。そうやって肌を浄化しながら、栄養も与えることもすごく大事なの。それができるクオリティのものが本物」

『パフュームスパ』の至極

M「Hirokoさんのつくるプロダクトもそうですけど、トリートメントも本当によくて。毎回ほぼほぼとろけてます」

H「確かに麻紀ちゃん、いつもそうね(笑)」

M「マッサージの腕ももちろんプロだし、そこに漂う香りは極上で。うっとりしていると、もうそんなに時間が経ってたの? って驚いてしまうくらいあっという間に時間が吹っ飛んでしまう。産前はもちろん産後すぐにもおじゃましました」

H「マッサージすると赤ちゃんがびっくりするなんて言う人もいるけど、妊婦さんこそ肩が凝ったり、足がむくんだりするからね」

M「そうなんですね」

H「老化って肩からくるのよ。肩って顔と直結しているから、肩が凝ると顔が老けるの。肩甲骨から首、肩、頭からおしりの下の仙骨まで一本の筋肉が通っているところを整えてあげると肩や背骨が楽になる。妊婦さんの場合、お腹は触らずにそこをほぐしてあげるだけで全然違うのよ。筋肉自体、緊張がとけてもとに戻るの」

M「本当にとけるって感覚なんですよね」

H「それと頭。スカルプケアだけじゃなくて頭全体のマッサージね。頭の中には脳があるでしょ。そこに香りはダイレクトに脳に作用するの。だからパフュームスパはより効果的なの。外から脳の中までもほぐすのよ」

港町で生まれ育った感性

H「いつか一緒に旅したいねなんて話はしてるけど、まだ行けてはないわね」

M「モナコやニース、カンヌなど、好きな場所も似てますよね」

H「二人とも関西出身で、海に近いところで育ったっていうのもあるのかしら。海って言っても湘南ともまた違うのよね。海岸というより港町。モナコも近代的であるけど、ノスタルジックなところがあるのよね。東京は働く街。働くことにポジティブで、いい環境もあって、癒しの場もある。考えられている街よね。頭がアクティブになる。それと比べて関西は、私たちにとっては帰るところ、っていうのかしら」

M「気心的に落ち着くし、ほっとしたりもします。最近は国内を旅することも多くなりました。京都に行く度に今なお感動しています(笑)。子どもが産まれてそうはいかなくなりましたが、ちょっと前までは休みが取れたらひとりですぐに旅に出かけていましたね。旅すればするほど最近特に日本っていい国なんだって感じます。そしてまた、東京は便利な土地だなって」

H「実はいま“日本”を意識したクリエイションを改めて意識し始めているの。日本人の感性だから作ることができる香りを近日発表する予定!」

M「すごく気になります!」

H「またバランシングオイルのときみたいに、麻紀ちゃんらしい素直な意見を聞かせてね(笑)」
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