田丸麻紀、美しさの理由「今の生き方が心地いい」Hiroko.Kのビューティノート vol.1




田丸麻紀、美しさの理由「今の生き方が心地いい」Hiroko.Kのビューティノート vol.1

6つ星ホテルで出会った香りが導いた出会い
──公私ともに親交が深いというお二人ですが、出会いのきっかけはまさに「香り」だったとお聞きしました。

田丸麻紀(以下M)「もう10年以上前になるでしょうか。宿泊したマンダリンオリエンタルホテル東京のお部屋の香りがとっても心地よくて。香りだけじゃなくて、置き方がとても素敵だったんです。どなたがプロデュースしているんですかと問い合わせたのがきっかけかな」

近藤 Hiroko(以下H)「そういうところに気づいてくれるの嬉しい! マンダリンオリエンタルホテル東京の客室の香りは私がプロデュースしていたのだけど、置き方も私が提案したの。そこに気がつくということが感性だし、麻紀ちゃんの素敵なところなのよね」

M 「アロマの使い方っていろいろあるとは思うんですけど、白くて小さな平皿に直接オイルを置いて、香りを楽しむっていうスタイルが当時とても新鮮で」

H「土器といって、神社のお神酒をいただく器なの」



田丸麻紀をイメージしたオレンジの白い花の香り

M「すごく新しいアプローチだなと思いました。そして、アロマというとヨーロッパやアメリカなど海外のものが多いなか、アルファベットではあったのですがHiroko.Kというブランド名を見て、日本の方なんだと知り、とても印象に残っていたんです」

H「麻紀ちゃんは、私が香りに託した思いをすべて汲み取ってくれるのよね。まるで広報スピーチみたいに(笑)。ホテルからのリクエストが、ただのオリエンタルではなく、日本のオリエンタルを打ち出してほしいというものだったので、私は神社の土器を選んだ。そしてそこに植物オイル香水を垂らしたの。仮に肌についてもベッドにこぼしても絶対に安全な植物だけで作った香りよ。それをきちんとこうやってとらえてくれる人がいるっていうのはホテルにとっても、作り手の私にとっても、本当に嬉しいこと。作り手の意図とか、素材の本質をすぐ理解できるのが麻紀ちゃんの素晴らしさなのよね」

M「本当にご縁だなあと思うのですが、それから数年後にキャンペーンのお仕事でご一緒させていただいたんですよね」

H「麻紀ちゃんがキャンペーンモデルだったので、私が麻紀ちゃんをイメージした香りを作ったのよね。オレンジの白い花の香りをベースにつくらせてもらったの(※1)」

M「マンダリンで香りを介して出会って、またお仕事でも結びつきがあって」

H「それからまた数年して、偶然レストランでばったり会ったのよね」

M「キレイだと思うこととか、美味しいと思うものが似ているのかも。あれも偶然でしたね。連絡先を交換して、それが6年ぐらい前。それで今に至る訳です」




自分をハンドリングできるようになった節目

M「お会いしてお話を伺ったりしていると、Hirokoさんのお仕事に対する思いとか感受性とかが豊かで素敵だなって、思うことが多いんですよね」

H「私の場合、日常生活の中でいかに香りを楽しんでもらえるかってことを考えている訳だけど、同じように目利きとしての感度がすごいのよ、麻紀ちゃんは」

M「もう、Hirokoさんはいつも私を絶賛してくれるんです(笑)」

H「だって、ことごとく作り手の思いやホテル側のメッセージをちゃんと受け取ってくれるんだもの」

M「こういう感情表現もそうなんですけど、Hirokoさんは私にないものを持っているという印象が強いです。お仕事の進め方とか考え方とか、才能もそうだし、人生の経験の豊かさもそう(笑)」

H「人生経験は、そうね(笑)」

M「年下の私が言うのもおこがましいんですけど、Hirokoさんてとっても素直でチャーミングなんです。だからきっと傷つくことも多いんだろうなと思うんですけど、シンプルに真っ直ぐに生きてらっしゃるので、いい意味で面白い。アーティストとして尊敬しています」

H「麻紀ちゃんにお仕事ではじめて会って、それからしばらくして2回目に見かけたとき、素敵な女性になったなあって思ったの。仕事柄、昔は可愛さで売らなきゃいけないこともあったと思うんだけど、大人の女性としてちゃんと成長してきたんだなって。人としてとても魅力を感じて、それで私からお声がけしたの。20代を振り返って、自分の中で変化ってあった?」



アラサー女性に“Mind the GAP”「溝」
M「Hirokoさんに再びお会いするまでの数年の間に、人生で大きな岐路があったという訳ではないのですが、もしそこに理由があるのだとしたら、好きなことしかしなくなったということかもしれません。もちろん、このお仕事をしていたらブランディングもありますけど、私自身が田丸麻紀という人間のハンドリングをできるようになった節目のときだったのかなあとは思います」

H「それが伝わってくるものがあったのよね。とても仕事に前向きで、仕事を第一に考えながら自分の私生活を組み立てている姿勢っていうのが伝わってきたの。私自身はずっと仕事ばっかりやってきてるから、そこが二人の交わる共通点だったのかもしれないね。与えられた環境の中で自分らしさを保ちながら、求められるものを真面目に作っていくという姿勢にとても共感したのよね」

H「“Please mind the gap”って聞いたことあるかしら? ロンドンの地下鉄って車両とホームの間にすごい幅が空いているのね。で、電車に乗るときに気をつけようにと流れるアナウンスなんだけど、それと同じでね、私、女性の28〜32歳を“the gap”「溝」って呼んでいるの。このギャップを上手に越さないと、落ちちゃうのよ、女性は。怖いでしょ(笑)。けど、麻紀ちゃんはそのギャップをきれいに越したの」

M「超えられたのかな。女性にとって確かにその時期は特別な時ですよね」

H「麻紀ちゃんは、大人として、そして一人の女性として、その形成ができたから、ギャップをきれいに飛べたんだなって思ったの。28〜32歳は、肌トラブルも起きるしね。体が変わるのもそうだけど、それより、心も変わるのよ。世間の見る目が変わるんじゃなくて、自分自身が過剰に年齢を意識して、もう子どもではいられない、けど老けてもいられないっていうギャップが必ず生まれるの。それをどう超すかっていうのが女性としての一つの岐路」


今の自分自身の生き方が心地いい

M「自分が上手に女性の節目を超えられてきたかということに自覚症状はないんですけど、家族がいて、子どもがいて、仕事ができている今の自分の生き方を心地よく感じられていることが、その答えなのかなと、今Hirokoさんのお話を伺っていて思いました」

H「仕事もそうだけど、恋愛も一緒よね。何より自分に素直でいることが大事。『自分は何者なんだろう?』って気が付かないままでいると、本当に自分と合った相手とも繫がり合えない。恋愛ごっこをしてるうちは楽しいし、相手によって自分を変えることも簡単にできたけど、そんな遊びの恋愛なんていつまでもやっていられない。素の自分が居心地のよさを感じる相手といなきゃいけない。結局、人って自分は曲げられないから、素の自分を理解してくれる人といないと疲れちゃうのよね。心からリラックスできるような相手と出会わなければ、人生の豊かさはもちろん真の美しさだって手に入らないから。素の自分が何かって言うことを、若いうちに見つけられないままいい加減に時間を弄んでいると、いざってときに何がしたいかわかんなくなっちゃうのよ。だから女性にとってはこの期間がかなりキーポイントなの」


──20代から30代へ成長していく過程で、香りの好みにも変化がありましたか?

M「香りも自分の年齢とともに変わってきているのを感じますね。自分が心地よさを感じたり、身につけたいと思う香りは、常に変化しているし、日常生活の中で学ぶことや得るものによってさらに変わって、また次のステージとして新しいものに手を伸ばしている。けど、自分の香りの歴史をたどった時に感じるのは、香りはいつも人生の一部にあるような、そんな感覚です。20代前半につけていた香りが、たとえおもちゃのようなものだったとしても、その香りをかぐと、ふとそのときの感覚に戻れたり、エピソードを思い出したり、当時の記憶がアルバムのように出てきたりする。香りって、直接、脳と心にリンクするような特殊なものなんですよね」





40、50代になって今の自分を振り返ったときに…

H「同じ香りでも、家で焚くときと体につけるとき。体につけるにしても、洗い流すもの、肌の上にのせるもの、全身に噴きかけるものと、すべて中に入っているものの種類もパーセンテージも違うの。けど、それが脳に伝わったとき、すべてイメージが同じになるように調合する。そこで初めて香りは完成する。完成された香りが脳にイメージとして伝わるのよね。目に見えないものだから、脳に幻想をつくれるの。だから昔を思い出すのよ。脳の中で映像を見せたいの。その香りをかぐと、バラの花束が目の前にイメージできるようなね、それが私にとっても香りなの」

M「今から10年後20年後、40代、50代になって今の自分を振り返ったときに、あの頃は素敵な時代で、素敵な香りに包まれていたなあと思えるような、30代の香り選びをしたいなというふうに思いますね。未来の自分のためにもっていうのはあります」

H「香りとはいろんな関わり方があるから。実際、香りに助けられるということもあるのよ。香りの成分自体は本来浄化作用があるから。香りをかいだ瞬間、気持ちを切り替えることもできるのよ。心を沈めたいとき、逆に活力を持って集中したいとき、体を活発にしたいときなど、香りはその種類によって効果も様々。天然のオーガニックのもので、かつ正しく調和されている香りなら、本当に居心地のいい空間をつくることができるんです」


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